思えば、土方巽の門を叩き「舞踏」に身を寄せて早50年が経とうとしています。熱に浮かされたように踊り、踊らされ、また苛まれてきた50年。そう言ってもいいかと思います。そしてまた、この50年は私にとりそれこそ一瞬の瞬きのようなものでもあります。
迷走と確信、確信と迷走、謎から謎へ。未だそんな旅の渦中にいます。
この度、山形県鶴岡、北海道小樽に続き三度目の拠点を山梨県甲斐市上福沢の地に設ける運びとなりました。おそらく最終の地となろうかと思いますが、今までの中で最も奥まった山の中です。
「木が切り倒されるのは自分の身体が切り刻まれるが如き思い」。
そういった感覚を少しでも享受したいという願いもありますが、ここ数年首を突っ込んで抜けようにも抜けられないでいる、ラスコー洞窟の壁画やショーヴェ洞窟の壁画。それを描いた?というよりも岩肌から赤ん坊を取りだすようにその姿をなすりつけた無数の動物壁画、それをした人間。その心。
そういったもの、ところにおそらく最低限繋がるであろうはずの山奥の地、田舎。そこに身を置くこと。それが一番の動機でした。
ゴロンと転がされた赤ん坊の息の緒。ヘソの緒の地。
自然豊かなこの地で、なにを追い、どういうものに見舞われ、遭遇するのか分かりませんが、それらがまた私の身体に出入りし発熱させ、わが身を攫っていくのか、正直不安と期待が入り混じっています。
ソコミ。
そう名づけました。
再び舞台を目指し、かなり油の切れたわが身ですが、思いきりしなりにしなって我が肉弓を引き絞る所存であります。
ここはまた、手で掬い取れそうな星空の輝きでも知られた場所です。
ビショップ山田